眼圧ベースラインとは

 緑内障の治療は眼圧を下げ神経の負担を減らすこととされております。日本人の緑内障の大半は眼圧が正常域である正常眼圧緑内障です。つまり、眼圧は異常に高くないのに病気が進んでくるのです。この場合も治療は眼圧を下げることではあるのですが、緑内障患者様がどのくらいの眼圧を維持すると良いかは個人個人で異なります。眼圧に関しては20mmHg近くあっても全く病気のない方もいれば、10台前半でも視野障害が進行してくる方もいます。一般的には、その患者様の治療前の眼圧を基準(ベースライン)としその70-80%を目指して治療を開始します。

 無治療時の眼圧は治療前にしか把握できません。そのため、緑内障を疑われた患者様におきましては、まずは点眼薬を処方せず、普段の眼圧がどのくらいなのか治療前の眼圧(ベースライン)を把握することが重要となります。人間の眼圧は日内変動や季節変動などがあり常に一定ではありません。このため当院では眼圧測定をしつつ、視野検査や眼底検査など数回に分け順番に行い現状を把握することがあります。

 転院を希望される患者様におきましても、状況把握と目標眼圧をしっかり設定させていただくため、一時的に点眼を中止する場合がございます。(末期の緑内障患者様や眼圧が異常に高い場合など、すべての患者様に行われるわけではございません。)もちろん、点眼中止にて不具合などがあれば即座に再開することは可能です。

(緑内障診療ガイドライン:第5版 第4章のⅡ)